最近話題になっている腸内フローラですが、腸内フローラが私たちの体にどう影響を及ぼしているのでしょうか?
今回は、その腸内フローラの偉大な力について記述していきます。
目次
腸内フローラがあれば、○○をだけでも生きていける?
ニューギニアのパプア族のエピソードがあります。
彼らは主食となるイモばかり食べているそうです。
動物性たんぱく質をほとんど食べていないのですが、その体は筋骨隆々でとてもたくましいのです。
不思議だと思いませんか?
研究の結果、どうやら空気中から呼吸で取り込んだ窒素分を、タンパク質に合成する腸内フローラが彼らのお腹の中で活発に活動しているようなのです。
栄養は食べ物から摂取するだけではない、というのですから驚きです。
そのため、低たんぱくに慣れた彼らは、お祭りで豚肉を食べたりすると、お腹を壊して亡くなってしまうことさえあるそうです。
つまり、腸内フローラが低たんぱく向きに出来上がっているのです。
ただし、誰もがそうなれる訳ではないので悪しからず。
「うつ」「不眠症」も腸内フローラを整えれば治る!?
今、世に出回っている薬は一時的には症状が治まるかもしれませんが、それは「一時的」に過ぎません。
「体質を改善」させていくのが一番根本的な方法です。
その点で言えば、睡眠薬は脳の働きを強引に抑え込んで休ませようとするものです。
ですから、決して体質改善にはつながりません。
しかも、もっと悪いことに、睡眠薬は腸内環境を荒らし、腸内フローラの働きを鈍らせるのです。
私達がやすらぎを感じる「セロトニン」の生産量も大幅に落ちてしまいます。
「うつ」における抗うつ剤も似た原理です。
脳に向かっている薬なので、腸内環境まではどうしてもおざなりです。
そもそも抗うつ剤には、腸管の拡張を引き起こす作用があって、栄養を吸収したあとの便が腸に残りがちになります。
さらに、薬を飲んでいる「うつ」の患者さんは、外出をあまりせずに運動不足に陥っているケースがあります。
すると、益々便は排出されなくなってしまいます。
そのため、抗うつ剤には「便秘」が副作用としてつきものなのです。
便秘によって悪玉菌優勢になり、大切なセロトニンを合成する力が失われていきます。
もちろん、そのまま放置していたら、よくないことが起こる患者さんには、たとえ一時的にでも薬の力が必要な時があります。
この点は否定しませんし、重要なことです。
ただ、さほど重症ではない患者さんでしたら、抗うつ剤に頼りすぎて、腸内環境を荒らしてしまうより、根本的な体質改善へ向けた方が良いのではないか、と考えます。
体質改善のカギとなるのは腸内フローラ
現代医学では、血圧が高ければ降圧剤、吐き気があれば吐き気止め、といったように、症状ごとに処方する傾向があります。
でも、それでたくさんの薬を吸収するために胃も腸もクタクタになってしまいます。
結果、腸内フローラは悪玉菌だらけになります。
大切な体質改善にはやはり腸内環境を整えることが一番の近道です。
女性の更年期障害は腸内フローラで克服!?
頭が重く感じたり、どうも疲れが抜けなかったり、体の不調で病院へいき、検査をしても異常がない。
病気が見つからないのを「不定愁訴」といいます。
東洋医学で呼ぶと「未病」です。
要するに、心と体のバランスが崩れて病気になりかかった状態、ともとらえられます。
「自律神経失調症」なんても呼ばれます。
いわゆる更年期障害の女性に対しても、「しばらくすれば落ち着きます」としか医者は言えません。
こういった方のお腹はへその左側に強い動機が見られます。
腸内環境が非常に悪くなっているのです。
実際に腸内環境を整えることにより、症状が改善されたという患者さんがいらっしゃるようです。
ダイエットも腸内フローラを整えれば成功する!?
巷でダイエットの為に、腸内環境を整えるものを飲んで翌日にはいっぺんに改善!
なんてことはならず。
ある程度じっくりと時間をかけて、少しずつ変えていく方法が確実です。
とはいえ、腸内フローラで肥満体質になるのか、やせ形体質になるのかは確かです。
よくTVなどで「デブ菌」「ヤセ菌」などと取り上げられてのを見かけます。
腸内フローラの中にも、この菌が多ければ肥満体質になって、これが多ければヤセ体質になる、などといわれています。
理想的には デブ菌:ヤセ菌=4:6 が良いとされています。
デブ菌の代表は「ファーミキューティス系の細菌」でヤセ菌の代表がバクテロイデスです。
ただ、「ヤセ菌」とされているバクロイデスは、決して善玉菌には分類されていません。
ビタミンなどの合成など、「いいこと」もする代わりに、アンモニアをはじめとして腐敗物質を作るのにも関与しています。
健局は良くもなるし悪くもなる日和見菌なのです。
そのバクテロイデスが作り出す短鎖脂肪酸が、まさに太らない機能を持ってらしいのです。
この短鎖脂肪酸が腸から吸収されて血管に入り、体全体に行き渡ります。
するとその短鎖脂肪酸は脂肪細胞に働きかけ、脂肪の取り込みをストップさせるのです。
反対に、この短鎖脂肪酸が血中にないと、血中の脂肪が脂肪細胞にドンドン取り込まれて肥満になるのです。
それに、この短鎖脂肪酸は、筋肉にはたらきかけて脂肪を消費する働きもあります。
この短鎖脂肪酸とは、人の大腸で消化しにくい食物繊維などが、菌の力で発行生成される酢酸、プロピオン酸、酪酸などの総称です。
じゃ、ダイエットするなら短鎖脂肪酸だ!
と単純にはならず、外から取り入れるのではなく、体内にいる腸内細菌が、短鎖脂肪酸をたくさん作ってくれるような腸内環境になっていなければならないのです。
結局のところ、大切なのは「食事」で、それによって体質を徐々に変えていくのが大事です。
腸内フローラが作る美肌と若さ
便秘が体に悪いのは、多くの方が実感しているでしょう。
「うつ」の患者さんも便秘を治しただけで、ほぼ全快したという報告もあるほどです。
女性においては便秘はとても深刻な問題です。
近年の国民調査では、「日本女性の48%が便秘」という結果まであるそうです。
便秘が変更に影響することも自覚しているはずです。
しかし、便秘の方の多くは「そのうちなんとかなる」と、割と腸内環境の状態を放置する傾向があるようです。
便秘になる原因には食生活の問題から運動不足、ストレスなど、いくつもありますが、それらのすべてに、善玉菌が減って悪玉菌が増えるという、腸内フローラの悪化が関係しています。
腸内環境が悪くなれば、悪玉菌がドンドン増殖して有害物質が増えていきます。
するとその有害物質は台帳から毛細血管を通じて吸収されて、全身に蔓延していきます。
肌の組織などはそこで多大な影響を受けてしまいます。
ニキビ、乾燥肌、シワ、シミなどが次々と出てくるのです。
さらに腸が詰ると本来あるべき代謝エネルギーが減ってしまうので、太りやすくなり、そこで無理なダイエットをしたりすれば、ますます肌が荒れてしまいます。
それをどうにかサプリなどで補おうとしても根本的な改善に繋がらずうまくいきません。
腸の環境が悪く、体全体の代謝が悪ければせっかくよい成分を摂取しても、効果を発揮しません。
便秘になると下剤を飲む方もいらっしゃいますが、一時的にはすっきりしても、習慣化してしまうと、どんどん効果は薄れていきます。
じっくりと腰を据えて腸内環境の改善を図ることです。
しかし、腸内環境改善といっても腸の中を洗浄してきれいに汚れをとる、などといったことではありません。
腸管洗浄を行ったとしても、何か食べればまた便も出来ますし、菌も戻ってきます。
一度は悪玉菌を除去しても、元の木阿弥なのです。
上記で紹介した「エクオール」も腰を据えて日常生活の改善から行っていくべきです。
この「エクオール」ですが、大豆などに含まれる大豆イソフラボンという成分が腸内細菌によって変化してできたものが「エクオール」なのです。
そのため、腸内フローラが美肌と若さを作る、といっても過言ではありません。
アレルギー、アトピーと腸内フローラの関係
我々が口から運んだ食べ物は、消化管を下っていく過程で酵素によって分解されます。
そして腸管で栄養素として吸収されます。
この時、食べ物が、外側から来た危険な侵入物と判断し、毎回免疫反応が起きていたら大変です。
そこで、侵入したものでも、有害と判断されるような病原菌やウイルスだけ免疫反応で攻撃し、必要なものは「どうぞ」と許可してもらえるのです、それも腸内フローラの働きです。
ただし、この免疫反応が過剰に反応してしまうことがあります。
それが「食物アレルギー」です。
腸内フローラがほぼできあがる2~3歳くらいまでの食生活に多くは起因していると考えられています。
乳児の頃に大人用のたんぱく質を与えてしまうと、そのタンパク質がちゃんと消化されず、そのままの形で吸収されてしまいます。
すると体の中っで対応する抗体ができず、同じものを食べたりすると激しく排除しようと攻撃するのです。
とくに生エビ、牛乳、貝、刺身、ピーナッツバター、ソバなどは危険です。
この抗体は、アトピーや喘息を起こす原因にもなるのです。
乳児ではなく、高齢になって発症するケースもあります。
原因はいつくか考えられており、志望の度合いが強い食生活や、帝王切開によって菌との接触が少ないまま生まれてくる子供の増加や、除菌生活に慣れ過ぎた生活環境などがかえって、アレルギーに繋がっているとの指摘があります。
花粉症もアレルギーの一種です。
花粉は本来無害なものです。
本来無害なものでも、免疫システムが異常をきたし、抗体を作りだしてしまうのです。
この理由も、「キレイ好き」になり過ぎて菌との接触が減っていることや、食生活の変化で免疫を司る腸内フローラのバランスが悪くなってしまったからと言われています。
また一方で、ある特定の腸内細菌を使って、アレルギーの予防や治療をしよう、との研究も進んでいます。
たとえば、腸内細菌の中のクロストリジウム属の菌がアレルギーを抑えるのに役立つ、とされています。
しかし、根本的な改善にはやはり、極度な「キレイ好き」をやめて、食生活の改善からだと思います。
糖尿病と腸内フローラには密接な関係があった!?
糖尿病と腸内フローラの関係も、現在研究が進んでいる分野といえます。
その前に簡単に糖尿がなぜ発症するのか説明いたします。
糖尿にはⅠ型とⅡ型があります。
Ⅰ型糖尿病の発症原因
まず、Ⅰ型糖尿病ですが、これは血糖の量をコントロールするインスリンを作っている膵臓の細胞が破壊されることで生じるものです。
日本人には少ないタイプの糖尿病です。
遺伝や環境のせいだとも言われていますが、なぜ細胞破壊が起きるのかは、完全に分かっていません。
Ⅱ型糖尿病の発症原因
日本ではこちらが一般的です。
このⅡ型糖尿病の原因は遺伝や高カロリー、高脂肪、運動不足などによって生じるインスリンの働きの低下が考えられます。
インスリンの働きが低下すると、血液中のブドウ糖を上手に処理できなくなり、血糖値の高い状態がそのまま続くようになります。
そして、一度高血糖になると、血液中の大量のブドウ糖が膵臓を攻め立て、インスリンの分泌量を低下させます。
さらに、肝臓、筋肉などの組織でインスリンが聞きにくくなる「インスリン抵抗性」という状態を起こします。
この高血糖が、さらにまた高血糖を呼ぶという悪循環によって、ますます糖尿病が悪化して行きます。
そして、気づかないうちに糖尿病が進行して行くのです。
Ⅱ型糖尿病と腸内フローラ
特に日本人と関わりの深いⅡ型糖尿病について腸内フローラとの関係を見て行きましょう。
実はある研究機関で、便を調べて見ると、血糖値が正常、ないしはコントロールがうまくいって改善している人たちの腸内細菌は、善玉菌が多く、血糖値が高くなっている人たちの方は、やはり悪玉菌優位になっていたのです。
しかも、血糖値が正常だった人たちにはアッカーマンシア菌という腸内細菌がたくさんあることがわかりました。
このアッカーマンシア菌は、乳幼児から老人まで人の腸内に存在している善玉菌で、「血糖値のコントロール」と「肥満防止」にも有効な、体質改善に使える可能性の高い菌なのです。
また別の研究ではⅡ型糖尿病の患者さんは腸内フローラのバランスが乱れやすいという実験結果も出ています。
腸内フローラが乱れることで、腸内で生息しているはずの腸内細菌が血液中で検出され、炎症を引き起こしている可能性があるというのです。
ガン細胞も、腸内フローラが撃破!?
私たちの体の中では1日1兆の細胞が入れ替わっています。
その新しくできた細胞の中で、うっかりコピーミスのようになてしまったりするのですが、それがガン細胞です。
ガン細胞ができてしまうと、退治して回るのが免疫細胞です。
この免疫細胞は、まず身内か、外側からきたものかを判断します。
外からきたものであれば有害なものだなと判断しやっつけるのですが、ガン細胞の難しいところは、もともと自分の健康な細胞だったわけです。
免疫細胞としては「異物」として判断しづらいのです。
とはいえ、免疫細胞は、生まれたばかりのガン細胞を攻撃して死滅させているのです。
その免疫細胞の70%が腸内になるわけですから、ガンと腸内フローラとが密接な関係にあるのはお判りいただけると思います。
肉食が増えると、腸内では、それに伴って悪玉菌も増えて行きます。
学者の中には、脂肪を摂ることが多い地域ほど大腸ガンによる死亡率が高い、とはっきり断言する人までいます。
便秘などは腸内環境悪化の最大の原因の1つです。
便秘になると便が腸内に止まって、結果的に、大腸の粘膜上皮が発がん物質や有害物質の影響を長時間受けることになるます。
最近では、テレビで、ガンの患者さんの便から腸内フローラを調べたらガンを引き起こすと思われる新歩の菌が発見され、そのきんがアリアケ菌と名付けられた、と報じられていました。
ただし、ガンを悪化させるのも腸内フローラですが、抑制するのも腸内フローラなのです。
マウス実験で興味深い結果が出ています。
マウスに大腸菌や腸球菌、クロストリジウム菌といった代表的な悪玉菌を定着させると、非常に高い確率で肝臓がんの発生が確認されました。
ところが、逆にビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌をプラスすると、発生ガン率が劇的に下がったのです。
腸内フローラの中で善玉菌が優位になるとこれらの菌が作り出す酸によって悪玉菌の増殖が抑えられ、悪玉菌が作り出す有害物質も減っていくからではないか、と言われています。
さらにビフィズス菌などには、ガン細胞を攻撃する免疫細胞たち、マクロファージ(白血球の一種)、B細胞、Th1細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞などを活性化する働きがあります。
心筋梗塞、脳梗塞も腸内フローラが関係している!?
ガンに続く死因といえば心疾患、脳血管疾患ですが、その代表と言える心筋梗塞や脳梗塞とも、腸内フローラは密接な関係があります。
心筋梗塞、脳梗塞の元になるものいえば動脈硬化です。
血管の内側に脂質などがくっついて、内側の膜がだんだん厚くなり、弾力を失って硬くもろくなった状態です。
進行していけば、血管はだんだん細くなり、血行が悪化します。
もしも心臓で動脈硬化が起きたら、心臓に酸素と栄養を供給している冠状動脈が詰まって狭心症や心筋梗塞に発展して行きます。
この動脈硬化を語る上で重要になるのがコレステロールです。
コレステロール自体は私たちの体に必要な成分ですが、必要以上になると血の中に混じって、血液をドロドロにしてしまいます。
これらには、ビフィズス菌や乳酸菌などが、コレステロールを排出する働きがある、と言われています。
乳酸菌自体がコレステロールを自分にくっつけて、一緒に便となって外へ出ていく効果があるのです。
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